世界中で新型コロナウイルスが猛威を振るっています。日本では、欧米と比べて感染者数が少ないと言われていますが、楽観視はできない状況です。一方でコロナウイルスに怯えながら、日常生活を送るには、どんな心構えが必要なのでしょう。医療現場の最前線で働く、前田先生が、今、思っていることとは?
予防医療の本質は病気の恐怖を晴らすことです。
自分が「新型コロナウイルスに感染するかどうか」と未来を心配するのでなく、「ウイルスに感染しないカラダかどうか」と、自分のカラダへ意識を向けることも大切です。
「ウイルスに感染しても大丈夫なカラダかどうか」と、今の自分を労わってあげる時間はあるでしょうか。
もちろんマスクの着用や手洗いなど、基本的なことには気を付けるべきです。
ただし、ウイルスとの接触を避けることは重要ですが、目に見えない無数のウイルスを避けようとしても、果てしない努力になってしまいます。
しかし、自分自身のカラダについては、目標を立てて管理をすることができます。
まずは自分自身のカラダに意識を向けて、血流を良くして体温を高めるような、健康的なライフスタイルへしていくことで、免疫力のある大丈夫な身体にしていくことが可能になります。
健康的なマインドを持つことも、健康的な身体のためにも必要です。
不健全なマインドは、自律神経が狂い、免疫力が下がり、病気につながります。
世界的ベストセラーの歴史学者である、ハラリ氏の著書「サピエンス全史」。
その著書の中で、人類の進化の鍵は、「概念を共有できる能力」にあった、とあります。
しかし、今回のコロナ禍では、その概念が、極端にネガティブな概念になっています。
本当の情報であれ、嘘の情報であれ、そこから生まれる人間の「不安」という感情や、その感情によって生まれるネガティブな「概念」が、物凄いスピードで人々のマインドに「感染」しています。
なんらかのマインドコントロール状態です。
事実より妄想がふくらみ、妄想がウイルス以上に拡散しているかもしれません。
慶応大学病院の発表によると、「4月13日から19日までの間に新型コロナウイルスでも何でもない患者67人に、PCR検査をしたところ、約6%にあたる4人が陽性」だったと発表。その4人は、いずれも新型コロナ感染症の症状はまったくなかったとのことです。
つまり、そのPCRが陽性で無症状だった人は、「新型コロナになっても大丈夫な身体」であった、と考えられます。
ニューヨーク州では、4月23日、ランダムに3,000人に新型コロナウイルスの抗体検査をしたところ、約14%の人が陽性になっていたことが分かっています。
抗体検査が陽性という意味は、一度コロナウイルスに感染したことがあるということです。
「無症状だけど、実は感染していた」という人が、たくさん存在していたことになります。
ニューヨーク州全体に試算すると、約270万人に相当します。
これらの事実から、「妄想」するべきことは、新型コロナを過剰に恐れる生活、ではないはずです。
ウイルスとの接触をさける努力はしつつ、その次のステップとして、「接触しても大丈夫なカラダかどうか」「感染しても回復できる身体かどうか」へ、意識を向けることが大切ではないでしょうか。
もちろん適切な自粛は重要ですが、「不安が募る自粛」「楽観的な自粛」「平和な自粛」などなど、同じ自粛という行動をとるにしても、マインドについては、自由に自分自身が決められます。
どのような心の状態で、未来を「妄想」することが、自分の健康のために大切であるのかを、考えてみてはいかがでしょうか。
医療法人「愛咲会」理事・医療統括責任者